唯一無二の存在感が際立つ、深津絵里さんの素晴らしさ
今月はNHKの朝ドラ「カムカムエヴリバディ」で、朝ドラ史上最年長のヒロイン役とはまったく思えない、遠慮がちな乙女から凛とした母親まで、幅のある役柄をこなすと同時に表現力溢れる“視線”の演技で視聴者を魅了した、大月るい役・深津絵里さんのことを取り上げたいと思います。
ゴールデンウィーク中の5月4日、このドラマの3人のヒロイン「安子編」・「るい編」・「ひなた編」で構成される総集編が放送されましたが、みなさんご覧になりましたか? 1925年から2025年まで、三世代百年にわたる家族の物語を繋ぐのが、ルイ・アームストロングが歌うジャズの名曲「オン・ザ・サニーサイド・オブ・ザ・ストリート」と英語、そして餡子(あんこ)と時代劇。脚本を手掛けた藤本有紀さんが、それらのキーパーツを巧みにちりばめた朝ドラ史上に残る、出色の傑作が生まれました。
中でも視聴者を釘付けにしたのが、初代ヒロイン安子を全身全霊を込めて演じた上白石萌音さんからバトンタッチを受け、母である安子と悲しい別離をした娘るいを圧倒的な演技力で演じきった深津絵里さんです。ジャズ・トランぺッターとして将来を嘱望されながら、突然トランペットが吹けなくなるという奇病を患い、失意のどん底にいた夫役のオダギリジョーさんを「自分が守る」と健気に言って、海に身を投げようとしていた彼の命を救っただけでなく、まったく地縁のない京都の地で回転焼き屋を営みながら、3代目のヒロインとなる娘ひなたと息子桃太郎の2人の子供たちを立派に育て上げますが、そんな彼女には満たされない心の傷がありました。
それは、幼い日に誤解から「I Hate You」と言って生き別れた、母安子のことです。ドラマの最終盤、ハリウッド映画のキャスティング・ディレクターとなって再び日本を訪れた“アニー・ヒラカワ”こと、安子とクリスマスの岡山で「オン・ザ・サニーサイド・オブ・ザ・ストリート」を歌うステージ上から奇跡の再会を果たします。この瞬間に心の中にあったわだかまりが全て消え、るいは安子に「I Love You!」を伝えることができます。この感動的なシーンはいつ見ても涙腺が崩壊します。まだ、観ていない方はぜひ再放送された際やDVD化された時にご覧になってみてください!
結び
♪♪今月のヒークンお薦め・癒しの一枚(^^♪
「アルデバラン」AI
「オン・ザ・サニーサイド・オブ・ザ・ストリート」を取り上げるかと思わせつつ、取り上げまするは珠玉の朝ドラ「カムカムエヴリバディ」の主題歌、森山直太朗さんが作詞・作曲し、AI(あい)さんが歌った「アルデバラン」です。
「君と私は仲良くなれるかな、この世界が終わるその前に」で始まる歌詞、AIさんの歌唱力が素晴らしくマッチしていて、この波乱万丈のドラマを盛り上げるゴスペル調の素晴らしい曲に仕上がっています。