エボニー・アンド・アイボリーと小吉の女房に学ぶ、調和と共存
1981年2月、カリブ海に浮かぶイギリス領の島、モントセラト島にザ・ビートルズのプロデューサーだったジョージ・マーティンが建てた今は亡きAIRスタジオに入って、わずか2ケ月前に旧友ジョン・レノンを突然失った悲しみから立ち上がったばかりのポール・マッカートニーが書きあげたのが、名曲「エボニー・アンド・アイボリー」です。
この曲は、ピアノの黒鍵(エボニー)と白鍵(アイボリー)が互いに調和しながら一つのハーモニーを奏でるように、肌の色や性別、思想信条を超えて人類全体が調和と共存を目指していくことをテーマに当時、最高の名声を誇ったスティービー・ワンダーとの夢の共演が話題を呼び、翌年3月にリリースされると世界中で大ヒットしました。
私が特に好きな歌詞は「黒鍵と白鍵は、私のピアノに完全に調和して共存している。なぜ、私たちにはそれができないのか? どこに行こうと、人はみな同じだと私たちは分かっている。誰にだって良いところと悪いところがある。共に生きていくために、お互いに分かち合うことを学ぼう。」(出典引用:原曲の日本語訳より)と歌っている箇所です。この歌詞が40年後、ウクライナで起きてしまった悲劇の解決に必要なすべてを言い表しているように思います。
時代は遡って幕末の江戸。この歌詞を実践しているかのような明るく気風のよい夫婦二人が毎回活躍し、3月12日に最終回を迎えたNHK土曜時代劇「小吉の女房2」。主役は沢口靖子さん演じる勝麟太郎(のちの勝海舟)の母・お信(のぶ)。このお信の旦那が古田新太さん演じる小吉(こきち)で喧嘩っ早く、無鉄砲。でも、まっすぐな心を持っていて、そこに惚れたお信が困っている人たちの力になり、最後はハッピー・エンドを迎えるストーリーです。皆さんも機会があれば、ぜひご覧ください!
結び
♪♪今月のヒークンお薦め・癒しの一枚(^^♪
「タッグ・オブ・ウォー」ポール・マッカートニー
今月のコラムで取り上げた人種や性別などによる差別を乗り越えて、互いに調和して生きていくことの大切さを歌った「エボニー・アンド・アイボリー」を含む、彼のソロ活動を代表する一枚。他にもオーケストラをバックに人間同士の意地の張り合いや対立を綱引きにたとえた表題曲「タッグ・オブ・ウォー」も素晴らしい仕上がりです。